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[バイク]

1995年02月28日

ドーニーブローク→ナラボー(2月)

<再び旅へ>

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高い木と緑が印象的

社長にやめる事を告げた。農場の人々は親切だった。俺の相棒をぬかして。相棒ともう顔をあわさないですむ事も嬉しかったが、なによりもまた一周への旅へ出られる事が嬉しかった。ドーニーの宿に気心が知れた人はハスだけになってしまった。皆、金が貯まるとサッサと出ていくからだ。ウェインはニュージーランドへ行ったし、同室の彼女たちは、より金のいい農場を見つけ、パンバートンという町に移動した。俺は何の未練もなくドーニーブロークを後にしたが、心の中でもう一度パースへ行こうと決めていた。

もう知り合いは少ないだろうが、ラトナーがまだいる事は知っていた。そのため彼女に会いたいという事もあったのは確かだが、俺の古くからの友人がパースへ来ていたのだ。久し振りに思い切り日本語を話す。俺はここ2か月間日本人との接触があまりなかったので、ホッと一息ついた気分だった。思うに、日本語を話さずにずっといるとノイローゼになってしまうのではないだろうか。とにかくパースで友人と食事をしてラトナーにサヨナラを言う。いつの日かの再会の約束をして…。
想い出の街パースを後にしてまたキャンプ生活が始まった。この辺は涼しいからキャンプがしやすい。ダーウィンからブルームの間は暑かった。夜中に喉がカラカラになって何度も起きて水を補給しないとダメという状況だ。それにくらべれば、何日でもキャンプできそうだ。しかし突然話し相手がいなくなり一人の寂しさは数日間俺をつきまとった。

 

<パンバートンでのこと>

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はしごでのぼる

パンバートンという町に61mもの高さを登れる木というのがある。この木は昔ブッシュファイヤーを発見するために使われていた木で、木に棒が刺さっているだけなのだ。もちろん落ちたら自分の責任ですよという看板まである。木には簡単に登れたが、非常にあぶない木だ。

この町では木登りの他にもう一つ楽しみがあった。そう、この町で移ってきたドーニーで同室だった人達に会うことだ。夜になったら宿へ訪ねようと思っていた時、彼女らには偶然にも町に一軒のスーパーマーケットで再会を果たした。夜、彼女達と昔話に花が咲く。皆でドーニーのハスにも電話した。『この先ここまでいい出会いは無いだろうな。』ある程度長期間滞在をしないとなかなかいい友人は出来ない。うわべだけのつきあいで終わってしまうからだ。

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ドーニーで同室だった人達と再会

 

<観光地で思ったこと>

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ウェーブロック

「ウェーブロックへ行くべきか。」俺の頭は心に何度も問いかけていた。情報ではウェーブロックはたいしたことはないという事だった。それにそこへ行くにはルートを外れ、数日を費やさなければならない。正直なところ、このころ俺ははやく一周を完結させ、また友達をつくり騒ぎたかった。それほどまでにあの時間は楽しかったし、いろいろな発見があった。それにくらべ、今は走るだけの毎日。刺激がほしい。俺は街で騒ぐのもツーリングの一部だと思う。走るだけでツーリングを終わらせたくない。観光なんかしなくたて発見はどこにでもある。などと考えながらも、俺のバイクはウェーブロックへむかっていた。無駄 な時間になるのかそれは分からない。頭は行くなといっていたが、俺の体はよほどひねくれものらしい。

観光地としてのウェーブロックは良かった。もっとも皆に良くない良くないと言われ続けていたので、頭の中でヒドイものという認識があったからだ。もし皆がすごく良かったと言っていたら、俺はたいしたものには感じなかったろう。これまでもそうだった。過剰な期待をした時は、いつも裏切られ続けていた。本当に人間は勝手な生き物だ。

 

<温帯地帯>

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白い砂がまぶしい

エスペランスとアルバーニーの間で噂のキバハリアリを見た。体長約2cmで物凄いキバがついている。アリというよりまるでクワガタだ。後で知った事だがコイツはハチのようなハリを持っていて、刺されると、2週間も痛むらしい。『触らなくてよかった。』しかしこのアリは不気味だ。オレが動くとそっちをジロリとにらむのだ。非常に視覚が発達しているということがよく分かる。 オーストラリアは人間にとって危ない生物がかなりいる。ヘビ、サソリ、クモなどが有名だが、危ない生物にはかなり見る事が出来る。ヤバイものは事前にしらべておいて、対処方法も知っておきたいと感じた。
サウスウエスト地方で一番楽しみにしている所がラッキーベイだった。なぜだかは自分にも分らない。そこには雪のような白い砂と、透明感あるコバルトブルーの海があった。コバルトブルーと言っても南国の海の色とは少し違う。暖かみが無いのだろうか。少しツンツンしているというか、なんとなく人をよせつけない感じが漂っている。夏なのに風も冷たい。俺は3時間ほど海を眺め、ラッキーベイを後にした。

サウスウエストは緑溢れる土地だ。今まで走って来た不毛の大地ではない。疲れた旅人の心を癒してくれる。オーストラリアを旅した多くの人、特にオーストラリア人が素晴らしいと感じているようだ。確かに俺も素晴らしい地だと感じた。が、俺にはピンとこなかった。確かに緑の溢れるこの地もオーストラリアだが、不毛の大地こそオーストラリアらしいと俺は感じていた。不毛の大地は景色にも変化はなく退屈なのは確かだ。しかし日本では絶対に見る事はできない風景であり、また違う体験をもできる地だ。それにくらべ、サウスウエストの地は日本的な地に感じた。そんな事を感じていたので、俺は早くナラボー平原へ突入したかった。ある旅人は言った。『ナラボーは退屈だ。』そんな地を俺は走りたかった。

 

<ナラボー突入>

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ひたすら真っすぐ

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こういう所もある

ナラボーへついに突入した。ナラボーと言っても、インディアンパシフィック号の横を通るダートロードの方ではなく、1号線のほうだ。俺としてもダートを走りたかったし、パースを出た時点では走るつもりでいた。しかし俺は行かなかった。なんとなくイヤな予感がしたのだ。好調だったバイクの不調を俺が感じたからかも知れないし、調子の良い自分の体の調子が変に感じたのかもしれない。よく分らないが、長く旅をしていると妙なカンが働きはじめ、感覚が研ぎ澄まされていくようだ。その自分のカンを大切にして、俺は舗装路を選んだ。特には後悔していない。自分が無事ならまた走るチャンスを作ることが出来るから。

ナラボーは皆が言うより単調ではなかった。単調というより俺は変化のある道に感じた程だ。特有のブッシュの道から、サバンナっぽい道へ、そして木のない地帯、断崖の海など。道自体に飽きることはなかったが、ナラボーは長いとやはり感じる。こまめにガソリンスタンドがあることがこの道を長く感じさせるのだろうか。つまり先へ先へと進むことが出来るから。いままでは、先へ進むと中途半端な所に泊まらなければならなかったから、急ぐ必要もなかったし、急ぎたいとも思わなかった。しかしナラボーだけは早く抜けたいと感じながら走っていた。それは、俺がエアーズロックへ早く到着したかっただけかも知れないが。

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ナラボー

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