ガルフロードを使ってケアンズからダーウィンへ【オーストラリア一周ツーリング その4】
ケアンズ→ダーウィン(10月18日〜10月27日)
初めての海外ツーリング。XLV750で乾いた大地を走った24000kmの旅。(1994.6-1995.4)【その1】
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これからに向けて、ケアンズでバイクの改造をする
長く滞在をする街としてはあまり魅力を感じなかったケアンズに数日間滞在している。
バイクの修理と改造していたからだ。
まず直さなければいけないのがマフラーステー。
どうやら俺のバイクのマフラーはノーマルではなかったらしく、そのためステーが弱かったらしい。
これは鉄を曲げて丈夫なステーを作ってもらうことにした。
サイレンサーの付け根も壊れていたので、ついでに溶接で直してもらう。
ナンバーの穴は、道に落ちていた鉄板を当てて自分で直した。
それからダートを走って分かったのだけど、乾式エアクリーナーを湿式に変えることにした。
乾式エアクリーナーはコストが高いこととや、細かい砂を通してしまう問題があったのだ。
XLR750用の湿式クリーナーはなかったので、汎用品を加工して装着することにした。
この先なにがあっても自分でなんとかしなくてはいけないので、出来る限り自分で修理をした。
ルート選定とストックルートへの備えをする
それから、重量配分の問題。
バックパックを縛り付けているが、荷物の高さが凄くなっているので、この先のことを考えて振り分けバッグも購入した。
これからダーウィンに行くまでのルートを決めた。
ルートといってもオーストラリアは道自体が少ないので2つか3つのルートの中から選ぶという感じなのだが。
オーストラリアのダートロードに魅せられてしまったので、ガルフロードという道を抜けダーウィンへ向かうことにした。
情報では道はかなり良いとのことだった。
ダートロードも走りたくてすでにブーツなどは準備しているが、これから走る非常に長いダートロードに備えていろいろと準備をした。
オーストラリアのストックルートは気軽に紹介されているが、T君の例もあるように、日本で考えられているより事故がかなり多いのだ。
何かあったときのことも考えて行動しないといけない。
ケアンズの町を出発
Fちゃんという日本人ライダーが、同じ日に同じルートでダーウィンへ向かって出発した。
俺もFちゃんもお互い一人で走りたかったので、その日の宿泊地だけ決めておいて別々に出発した。
途中のガソリンスタンドで待ち合わせをして、夜に酒でもくみかわせたらという考えだ。
もちろん行ったことのない場所での待ち合わせだったが、小さい町だとスタンドは一軒か二軒しかないので迷う事はない。
ケアンズから先は、久し振りのワインディング。ワインディングロードにうきうきするが、フル積載のバイクは遅い!
なるべく荷物は減らしているが、日本で走っている時とは比べものにならない重量の荷物をのせている。
ぜんぜん気持ち良くないワインディング。コエーと叫びながら走る。ほんとうに怖い。
直線のことしか考えていないのではないかという重いバイク、それに加えオフロードタイヤ、最悪なのだ。
途中からFちゃんNさんと一緒に走る事になった
結局、俺とFちゃんは途中から一緒に走っていた。
ペースを変えて走っても、ガソリンスタンドで必ず一緒になるのだ!
それならいっそ、一緒に走った方が楽しいし、何かあったときの心配も少ない。
しばらく走っていると、別のルートからこの道に入ってきた二人の日本人ライダー、KさんとNさんとも一緒に走っていた。
Nさんはやはりケアンズで同じ宿に泊まっていたのだが、Kさんと二人で俺達の出発の前日に出発していたのだ。
少しそちらの道のほうが距離があったため、追いついてしまったのだった。
俺もFちゃんも一人で走りたかったから、彼らと日にちをずらして出発したのだが、これは仕方がない・・・。
あきらめて一緒に行くことにしたのだった。
4人で走ることになったわけだが、ダートロードに入ってすぐにKさんが離脱。
彼はどうしてもマウントアイザに行きたいらしく、舗装路へ向かって行ったのだ。
Kさんと別れた後は、Nさん、Fちゃん、俺の順でダートロードを疾走していった。
アボリジニのこと
アボリジニというオーストラリアの原住民がいる。
日本のお茶の間で見るアボリジニと実際に見るアボリジニはやはり違った。
比較的観光客が来るところに住んでいるアボリジニや、交通の便の良いところのアボリジニは、外人慣れ(むこうからすれば、日本人は外人だ!)している。
そうでない所ではじろじろと顔を見られたりいろいろと不愉快な思いもする。
危害を加えられるわけではないし、接してみると悪い人ではないのは分かるのだが、アボリジニ独特の顔立ちは最初『こわい』と思ってしまう。
独特の顔立ちに慣れてしまえば、けっこう気さくなやつも発見できるのだが。
いろいろな問題もみえてくる。
昔の彼らの生活を体験するツアーなどでは絶対に分からない、今の彼らの生活もあるのだ。
彼らのほとんどは政府から保護を受けているそうで、昼間からビールを飲んでいるやつも多い。
観光客を見るとすぐたかりに来るやつもいる。
仕事をしたくても仕事が無い、そんな生活をしている間に堕落していき、仕事の事を考えなくなってしまった人も多いのだろう。
単純にどうこうなる問題でもないが、逆に自分がアボリジニである事に自信を持って仕事をし、生きている人もいる。
そんな人は、無茶苦茶カッコイイ。
自分の目で見て、話しをしてみることは大切だ。観光ばかりがツーリングじゃないのだから。
Fちゃんが転倒して、足をケガしてしまう
クイーンズランド州とノーザンテリトリー州の州境の近くのロードハウスで、おばちゃんがこの先の気温は48度になると言っていた。
すでに45度近くもあるが、もっと暑くなるのか、うげ。
とにかく注意して進むしかない。暑さの中3人は例の順番で走りだした。
なにごともなくノーザンテリトリー州にはいる。気温は45度になったらしい。
ノーザンテリトリー州に入ってしばらくすると、前のほうで砂が巻き上がる。
尋常じゃない巻き上がりかただ。前を走っているFちゃんがこけたのが分かった。
スピードをゆるめながら近づくと、固い路面からいきなり砂に変わっていて、それも砂の中から固い轍が飛び出て縦横無尽にはしっていた。
ブルダストと呼ばれている路面だ。
その砂の部分にはバイクを止めたくなかったので、砂地を抜けてからバイクを止めてFちゃんを助けにいく。
「だいじょーぶか?」と聞いたら「駄目ですね。」との返事。『なにがいったい駄目なんだ?』不安になる。
「骨みえましたよ。」とさらに続けるFちゃん。マジかよ…こんな何もないところで…。
俺は足から骨がつきでているのを想像してしながら、この後どうすればいいか少し混乱気味になった。
「みせてみろ。」そう言った。本当は心臓がドキドキして、そんなものは見たくなかったが、仕方がない。
俺以外に彼の近くには誰もいないのだ。
そおーっとフミちゃんが足から手を放す。『飛び出てない!よかったー』それが俺の心の中の声だった。
もっとひどいケガを想像していたので、かなりホッとした。
土の固いところに足を打ってケガしたようで、骨折まではしていないようだ。
傷口にたっぷりついている砂を洗いながし、包帯を巻く。
ケガをしたまま走る選択
応急処置の後、Fちゃんのバイクのエンジンをかけてみる。
横だおしの時間が長かったせいか、エンジン始動に少し手間どったが大丈夫そうだ。
それから転倒でよじれてしまったフロントフォークを蹴っ飛ばして直す。
あとはフミちゃん次第だ。
先行していたNさんが異変に気づいて戻ってきた。運転できるか?と聞いている。
Fちゃんは、ちょっと痛いけど大丈夫ですよ、たぶん。と明るく話していた。
こういう状況になると人間明るくしようと努力するみたいだ。
それはともかく、この先の小さな町まで250kmもある。
250kmといえば、ケガをしたまま乗る距離でないのは間違いない。
度も何度も本人に聞き直してから、自力で250km先の町まで進むことに決めた。
ボロルーラの町の酔っ払いの医者
町のキャラバンパークにテントを張り、NさんがFちゃんを医者へ連れていった。
小さな町に病院などというものはない。診療所というものがあるだけだったらしい。
大きな国だから、田舎の診療所から病人やけが人を飛行機で病院へ運ぶフライングドクターというものが発達している。
Fちゃんは飛行機でどこにも運ばれなかったのだから、きっと大丈夫だったのだろう。
医者にはダーウィンへ行くことを話したら、「そこで医者にもう一度みてもらいなさい。たぶんそこまで大丈夫だろ。」と言われたそうだ。
ちなみに医者はパブで飲んでいて、酔っぱらっていたらしい。本当に大丈夫なのかよオイ。
彼は化膿止めの薬と痛み止めの薬をもらったそうなので、とにかく傷を化膿させずにダーウィンの町までは辿り着けそうなのは幸いだ。
小排気量車の旅人
ケープクローフォードのガソリンスタンドで、日本人ライダーがどこも悪そうなところはなさそうなCT110をいじっている。
あとで聞いたらタペットカバーが外れないで困っていたらしいが…。
小排気量車大好き人なので、このときCT110での旅をを少し羨ましく思った。
小さいバイクをいいなぁと思うのは、原付文化のある日本人ぐらいらしい。
オーストラリア人はとにかく大きいバイクを好み、大きくなければバイクじゃない位に思っている。
オーストラリアは大きい、本当に大きい。250cc以下のバイクなんて大陸を走るのには小さすぎるのだ。
大陸の走り方を知ってる欧米人やオーストラリア人は250cc以下のものは好まない。
スタンドのパブでCTの彼と情報交換をし、たわいのない話しをして別れた。
別れ際、FちゃんとNさんは彼に”出会い帳”を書いてもらうことを頼んでいた。
出会い帳とは、オーストラリアを旅する若者が出会った人の住所、名前、それになんか一言かいてもらうノートのことだ。
俺は本当に仲良くなった人や、気のあいそうな人にしか住所を聞かないようにしているので、彼の名前も聞かず、またどこかでと言って別れた。
XLV750の新たなトラブル
ケープクローフォードの先、Nさんはダートを使ってマタランカへ抜けるとのことで別行動になった。
俺はFちゃんと舗装路を行くことにした。
誰かがFちゃんのバイクのキックをしてあげなければならないという事情もあったが、舗装路を行かなければならない別の理由があった。
また俺のバイクはトラブルを抱えていたのだ。今回はサブフレーム折れ。重い荷物と振動でフレームが折れてしまったのだ。
日本ではあまり考えられない事なので気にもとめてなかったのだが、XLV750のサブフレームの形状も荷物を載せるにはあまり向いていなかった。
荷物の載せ方もだめだったのもあるので、工夫の余地ありだ。
サブフレーム折れは、世界一周のツーリングをしている人達には常識的なトラブルらしい。
ほとんどの人が重い荷物の対策のために、フレームに補強をいれているほどらしい。
まあやってしまったものは仕方ない。
応急処置をして、修理出来るところまで走るしかないのだから、ダートを走ってバイクを壊すリスクを増やしたくない。
その場その場で最善を尽くすしかないし、オーストラリアを一周したいのだ。
暑さで紅茶を沸かしてみる
単調な道をもくもくと走る。最高につまらない道だ。思うにここがオーストラリアで一番つまらない道だろう。
約270kmのあいだ、ただただブッシュが続き、なにも景色がかわらない。
こういうつまらない状況では、くだらないことを考えてしまうのが決まりだ。
本当に暑かったので、ペットボトルの水の中にティーバッグをいれたら、いつでもホット紅茶が飲めるのではないか、と考えた。
持ち歩いている水は常にお湯だったから、さっそく実行してみた。
多少なまぬるいが、うまい!飲めれば幸せだった不味い水が、臭みがごまかされた紅茶になるのだ!
茶色に色のついた水も、紅茶の色でごまかせて一石二鳥!
スチュワートハイウェイに合流し、マタランカに到着。
ダーウィンとアデレードを結ぶスチュワートハイウェイにぶつかった。
T字路が妙にうれしい!フミも本当にうれしそうだ。
そりゃそうだろう、ここまで来れば、交通量は多いし、最悪、車の助けをかりられるのだ。
スチュワートハイウェイえを走る3連結のロードトレインの大きさに驚きながら、ダーウィンへの進路をとりマタランカに宿をとった。
マタランカのホットスプリング
マタランカの宿には日本人が大勢して、Fちゃんは別の人とダーウィンへ向かうことになった。
おれはマタランカでホットスプリングとカヌーを楽しむことにした。
マタランカのホットスプリングは、お湯がとてもきれいで素晴らしかった。
お湯につかると今までの疲れがとれるような気がする。
カヌーは宿に泊まっていたライダー達と楽しんだ。連結させたり、わざと沈させたり。
オーストラリアをバイクで一人旅している人はみんなクセが強い!
リッチフィールドナショナルパーク
ダーウィンへ向かう途中、リッチフィールドナショナルパークへ立ち寄った。
滝や蟻塚が見所で、違う世界へ迷い込んだような感覚になれる公園。
滝は見るだけでなく、なんと滝壺で泳ぐことが出来る。
国立公園の有名な滝でこれは面白い。もちろん、水着になって滝壺へドボン。
体が濡れてしまうとバイクに乗るのに困りそうだが、暑さのためか割とすぐ乾くので、何の問題もなく水浴びが楽しめた。
Fちゃんのダーウィンでの診察結果
マタランカからスチュワートハイウェイを北上し、ダーウィンに到着。
彼が転んでからここまで5日間、ずっと右足をのばしながら走っていた。
もうFちゃんのの痛々しい走りを見ずにすむ。
Fちゃんはもちろんダーウィンに着いて早々に病院へ行った。全治3週間〜1か月。
骨が折れていなかったが幸いだったが、彼はダーウィンに足止め決定だ。
XLV750のフレーム補強とエンジンオイル漏れ
俺もダートで折ってしまったフレームの溶接とフレームの補強をこの街ですることに決めた。
それからオイル漏れの修理もすることにした。
ダート走行中にエンジンからのオイル漏れしはじめたのだが、たいしたこともなさそうだったので、そのまま走ってきた。
しかしこの先、旅は長い。修理したほうがいいだろう。
まず自分で原因を調べてみる。
漏れているところを見るために、タンクをはずし、V型のエンジンの真ん中に付いているキャブレターをはずす。
V型のエンジンの真ん中に付いているキャブの脱着はめんどくさいの一言!
自分で選んでおいてなんだが、旅バイクは整備性の良いシングルエンジンが一番いいと思った。
キャブレターを外して、オイル漏れしているところをみつけた。
どうやらオイル循環用のパイプとエンジンとの接点かららしい。
ねじが緩んでいるのかなと思い回してみたら、ねじがいくらでも回る!!
どうやら振動でねじがだめになったらしい。
オイルラインの箇所はネジが特殊なため、バイク屋でサブフレームと一緒に修理の相談をすることにした。
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