初めてのバイク旅。四国・九州・山陰ツーリング <23日間>
初めてのロングツーリング
1990年3月7日-4月2日 23日間
北海道から帰ってすぐに僕はツーリング用に400ccのバイクを買っていた。そして休みに近場をウロウロしながら、「春休みにはどこへ行こうか」という気持ちでいっぱいだった。とにかくバイクで遠くまで走りたかった。
学校の春休みにツーリングを計画したこともあって、あたたかそうな四国・九州を回ることに決めた。
新しく買ったバイクは、どこまでも走っていけそうで、走りたくて走りたくて仕方がない時期でもあった。
四国を通り抜けて九州まで行くというのが今回の僕の目標。
春休みにはいると僕はすぐに旅の支度をして、KAWASAKIのZX-4にまたがり出発することになった。
僕はまだ学生でお金もなく、横浜から神戸まで高速道路を使わずに姫路まで夜中ぶっ通しで走った。
途中の鈴鹿付近の名阪国道では大雪に見舞われ、トラックがたくさん走る真夜中の道を、手をかじかませながら走りきったのが懐かしい。
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ツーリングのルート
横浜→姫路→小豆島→高松→琴平→大豊→大歩危→徳島→室戸岬→高知→大豊→四国カルスト→中村→足摺→宿毛→宇和島→松山→佐田岬→別 府→やまなみハイウェイ→北九州→山口→萩→鳥取→京都→奈良→横浜
横浜から夜通し走って小豆島へ
横浜→小豆島→高松→大豊
横浜から夜通し走って、なんとか朝方に僕は姫路に到着。姫路から小豆島へフェリーで渡った。
小豆島の寒霞渓は素晴らしかったが、正直なところ僕はあまりの眠さで記憶が薄い。
それよりも四国へ渡り、なんの変哲もない農村が「ああ僕が小さかった頃って横浜もこんな風景だったな」と、ものすごく懐かしいものに感じた。
それから、四国の大きな町中にコンビニエンスストアを全く見かけなかったのも僕の中に凄く印象に残っている。
酒屋や個人商店がたくさんあり、四国って昔の日本がそのまま残っている素朴な場所という印象を僕に植え付けた。
定福寺ユースホステルの五大修行にはまる
大豊→徳島→大豊
大豊にある定福寺というお寺のユースホステルに宿泊した。
この定福寺ユースホステルは、五大修行という名のもとに、大豊付近の観光を紹介していて大変人気のあるユースホステルだった。
観光とはいえ、五大修行の名がついているだけあって内容は結構本格的。
[1]徳島〜中村(大豊からどちらかでよい)までの山沿いを横断する国道439号線を400km走破する修行(バイク・クルマ・自転車・徒歩なんでも可)
[2]標高1100mの京柱峠を越え、祖谷渓に沿って自転車で90kmを走る修行
[3]ユースから見える標高1400mの霊峰梶ヶ森山頂への登山する修行
[4]寺、神社、大杉の三代史跡と、名物の霊能者を巡る自転車で60kmを走る修行
[5]絶壁にそびえる霧石という石まで歩いていき岩の上で瞑想をする修行
[6]季節限定の福寿草を見にいく修行があった。
そして、このユースホステルは自らを笑い地蔵共和国と名乗ってもいた。
3つの修行を終えて5泊すると、笑い地蔵共和国の国民栄誉賞に、全ての修行をやると人間国宝になれるというものだった。
僕は徳島や室戸方面に行ってみたかったので、ついでのつもりでこの修行を始めることにした。
まずは国道439号線を走破修行。3月には道に雪も残っており国道とは思えない道をただ走った。
途中、スキー場があったのは少しビックリ。四国にスキー場なんてあるなんて思いもよらなかった。
徳島へ無事に到着したあとは、修行のことは忘れ、行ってみたかった藍染め工場へ行ってみた。
徳島ではここが非常に印象的で、絞り染めを作るのがとても面白く、二日連続で行っったほどだった。
徳島から室戸岬を回り、いったん定福寺ユースホステルに戻った。そして、一つ目の国道439号線走破修行が認定された。
修行を終えた証明書をもらうと、2つ目もやりたくなり、3つ目、4つ目と修行を順番にやりはじめてしまった。
九州まで走りに行きたいという思いは忘れ去られ、知らぬ間に5大修行全部を終えていた。
笑い地蔵共和国の人間国宝になるまで修行を繰り返したが、その時にオートバイで走り去ってしまうような所にも素晴らしい所がいっぱいあることを知ったのだった。
四万十川や沈下橋に感動
大豊-四国カルスト-中村-足摺岬-松山
五大修行を終えるとハッと我に返った。僕は九州まで行きたかったんだと。
修行で楽しい毎日を過ごして、定福寺で旅を終えてしまってもいいやと考えてはいたものの、なんとなくやっぱり他の所へも行ってみたい。
ユースホステルを出発し、高知を経て足摺岬方面へと走りはじめた。
バイクで走り始めると人との会話が急に減って寂しくもなったが、見たことのない美しい景色にはワクワクした。
特に最後の清流といわれた四万十川や、沈下橋を見た時は、出発して良かったと思った。
やまなみハイウェイを快走
松山-北九州
定福寺ユースホステルで時間をだいぶ割いてしまったが、僕はどうしても九州に行きたくて、フェリーで九州に渡ることにした。
九州で見たところといえば、やまなみハイウェイくらい。
時間もないのだから、ゆっくりと四国を見て回れば良かったのかも知れないが、やっぱり走りたかったんだろう。
とにかく九州を走りたかったかと言えば、北九州で会った女の子ライダーのことを思い出す。
彼女は二日間で東京から北九州まで高速を使ってやってきた。とにかく九州を走りたかったから、ずっと走ってきたらしい。
あっけらかんと言っていたけれど、凄いなぁと思った。
秋吉台から山陰地方を走って鳥取へ
北九州-鳥取-京都-奈良-横浜
北九州で会った女の子にも影響されたのだろうか、自宅へ戻るのは自走しか考えられなかった。
関門海峡を渡って、ツーリングマップルの写真に心奪われた秋吉台を見にいった。
その後は、ゴミゴミしていそうな山陽を通りたくなくて、日本海側の道を走ることにした。
山陰は、何にもなく、風だけが強く、陽でなく陰というふうに呼ばれているのも納得できてしまうような雰囲気。
ただひたすら走って鳥取についた。
鳥取では見たかった鳥取砂丘や出雲大社などの名所を回った。
京都・奈良で途中で会った旅人と落ち合う
鳥取-京都-奈良-横浜
京都、奈良では途中で出会った旅人と落ち合った。花博にも行った。花博では行った日に乗り物が落ちるという大事故があってビックリした。
走り終えて
走りの旅を満喫するつもりが、一カ所に長く滞在するという意外なことになり、滞在型の旅も面白いということを覚えた。
いろいろな所を回るだけでなく、同じ所でじっくり見る旅もまたいいものだった。
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