新型KLR650の国内販売は?不遇の名車KLR650の歴史
2021年1月27日(日本時間)、ついにKLR650の新型が発表されました。2008年にKLR650E型が出てから13年ぶりのモデルチェンジです。
アドベンチャー界隈や現KLR650シリーズオーナーの間ではこの話題で持ちきりになました。日本で導入されるかはまだ分かりませんが、導入国は2021年初夏以降に順次発表していくそうです。
旧KLR650シリーズは、日本で走れない不遇の歴史がある車種なのですが、KLR650の不遇の歴史を振り返ってみたいと思います!
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ネット上でも好意的だった新型KLR650
アメリカで新型のカワサキKLR650が2021年1月27日(日本時間)に発表されました。そのスタイリングは、SNS上でも「格好いい」と評判で、「コレ欲しい」という声をたくさん見かけました。
見た目のスタイリングはは、前モデルのNINJA顔からZ顔になりました。車体は旧シリーズと同じ雰囲気で、オーソドックスにまとめられています。
最新感を少し取り入れつつも、昔からのバイクらしいシルエットを感じさせてくれる落ち着いたデザインですね。私は古いデザインのバイクの方が好みですが、この新型KLR650のデザインはかなり好きです。
日本で新型KLR650は手に入れられるのか?
新型KLR650は海外モデルとして発表されており、国内導入がされるのか、逆輸入して日本で登録することが出来るのかの情報はまだありません。KLR650が国内販売あるいは逆輸入されるためには、排気ガスなどの規制をクリアし日本で登録できるかが問題です。
新型KLR650はフューエルインジェクションを装備しており、キャブレター仕様の旧型KLR650よち排気ガスはキレイにはなっているはずですが、どこまでの国を想定して開発しているか次第です。
費用をあまりかけずに低価格でアメリカなどの外気ガス規制が緩い国で売ることをメインに考えているのであれば欧州や日本での販売は難しく、世界的に売ることを前提に開発していれば日本でも走れるということかなと思います。
見た感じや価格を考えると、インジェクションしているとはいえ、欧州や日本の排ガス規制に適合させている感じはしませんので、日本での発売は厳しいですかね・・・。
位置づけとしてはアメリカや南米、東南アジアなどで低価格で売っていく戦略なのかもしれません。KLR650の導入国は2021年初夏以降に発表をしていくそうですので、それまではお預けですね。また情報がはいったら追記したいと思います。
不遇の歴史の連続だったKLR650の歴史
日本で走るKLR650が極端に少ないのは、各モデルとも不遇の歴史を持っているたからです。なぜKLR650が日本であまり見かけないのかご紹介していきたいと思います!
免許制度やレーサーレプリカブームで全く売れなかったKLR650A型
1987年に発売された初期型のKLR650は国内販売もされたモデルです。しかし全く売れない不人気車として1987年と1988年の2年間で国内販売が打ち切りになりました。
とても良いバイクであるのに売れなかった大きな理由は2つありました。1つは免許制度、1つはレーサーレプリカブームです。
●免許制度
この時代は教習所で大型バイクが取れない免許制度でした。大型バイクの免許を取るためには試験場で受けなければならず合格率も数パーセント。そのためほとんどの人が中型免許までしか持っていませんでした。
●レーサーレプリカブーム
1986年にNSR250やVFR400Rが発売され、翌年にはCBR250Rが発売・・・そんな時代です。ほとんどの人がレーサーレプリカを追いかけていた時代でした。
もちろんオフロード需要もありましたが、日本の林道には250ccクラスの方がマッチしており、大型のKLR650を買う選択はほとんどの人が持ち合わせていませんでした。
海外では売れ続けたベストセラーKLR650A型 海外モデル
免許制度やレプリカブームなどで全く売れなかったKLR650ですが、海外となると事情が変わり20年間同じモデルが売られたベストセラーになりました。その理由は大きく2つありました。
●大陸ツーリングにマッチした性能
大陸の舗装路を快適に移動でき、日本よりもコーナーが緩めな海外のダートを駆け抜けることにも適しました。重すぎない車重で、ツーリングにも遊びにも使えるバイクとして地位を確立しました。
海外ではライバルの多いビッグオフロードのジャンルでしたが、シンプルで壊れにくく、修理しやすいことも大きなメリットでした。
特にアメリカではベストセラーとなり、1987から2007年までなんと20年間もほとんど形を変えずに売られたのです。
●リーズナブルだった価格
ビッグオフロードのジャンルでライバルよりリーズナブルだったのも大きく、お金があればBMW、お金がなければKLRと海外のオフロードライダーは言っていました。
ただし安かろう悪かろうではなく、シンプルで壊れにくく、ツーリングに使いやすく、オフロードでの遊び用途としても面白く、その上リーズナブルという評価です。めちゃめちゃお得感のあるバイクだったわけですね。
●古くさい装備になってしまった
20年売られたということもあり、後期のモデルの頃には試験場で大型バイク免許を取る人が増え、日本でもKLR650を買える層が増えてきました。
しかし年数が経ってしまったがためにあまりにも古くさいデザインになり、どこのバイクショップも好んで逆輸入して売ることはありませんでした。
ネーミングも人気があったKL650B型「天涯」
KLR650A型にフェアリングを付けてパリダカ風に仕上げたモデルがKLR650B型「天涯」です。1989年から1992年まで生産されました。
KLR650A型からの大きな変更点は、フルカバータイプのカウルが装着され、Fフェンダーの位置、ブレーキガードガード類装着を装着してパリダカ風にしてあります。
その他、フロントブレーキは1ポッドから2ポッドキャリパーにアップグレードし、メーターの形状も変えてありますが、性能面はKLR650A型とほとんど同じです。
KLR650B天涯はたまに雑誌に小さく掲載される程度でしたが、「TENGAI」あるいは「天涯」と書かれたフェアリングは見るものにとってインパクトがありました。
知名度はそれなりにありましたが、やはり日本の免許制度や買えるショップの問題もあり、あまり売れることはありませんでした。
2種類のKLR650が同時販売!欧州派生モデルのKLR650C型
KLR650C型はKLR650A型から派生したモデルです。アメリカでは人気のあったA型が引き続き売られたため、枝分かれさせて欧州で売られていました。
同時期に2つの型式のKLR650が存在したため、この時期のバイク雑誌の情報はA型とC型を混同していたことが多く、A型の写真でC型の紹介がされていたり、C型の写真でA型の紹介がされていることもありました。
欧州向けのKLR650C型のデザインは、フェアリングの付いたツアラーからトレール向きのデザインに変更されました。実車を見ると650ccらしい迫力はありつつも、A型に比べかなりスッキリとした印象でした。
タンク容量もA型の23リッターから14リッタータンクへ変更。カウルをハンドルマウントにし、フォークを太く、ブレーキもより高性能な2ポッドキャリパーに変更され、各部リファインしつつ軽量化を狙った構成になっています。
また、このモデルはレッドバロンが輸入し、21インチタイヤから19インチタイヤに変更してモタード仕様として売られたことも知られています。
私がKLR650A型を買った時、KLR650A型、KLR650C型、KLX650が売られていましたが、情報が少ない上に混同されていたので、A型がアメリカ、C型が欧州、ということを知らないバイクショップも多かったのです。
見たこともなく不確かな情報したないバイクはなかなか買えるものではないですよね。だから、欧州KLR650C型が日本で少し走っているのはレッドバロンのおかげとも言えるかもしれません。
現代的な凝った装備のKLR650E型は、キャブレターがネックになった
2008年に発売されたKLR650E型ではモデルチェンジが行われ各装備が一新されました。見た目はNinja250Rの雰囲気のデュアルヘッドライトが目を引きます。
エンジン自体の基本構成はあまりかわっておりませんが、圧縮比があがりパワーバンドなどが変更されました。また、KLR650Aの38パイのフォークから41パイに変更されており全体の剛性もあがっています。
旧型の弱点だったブレーキも大きく進化。フロントは、A型の260mm1ポッドに対し280mm2ポッドリアも同様に230mm1ポッドから240mm2ポッドに変更され、ウェーブローターが装備されました。
タンク容量は23リッターから1リッター減り22リッタータンクに変更。その他、リアサスペンション、スイングアームなど各部がリファインされました。こ
この大幅にアップデータされたKLR650E型は、旧型のKLR650をGEN1(generation1・第1世代)と呼ぶのに対し、GEN2(generation2・第2世代)と呼ばれています。
GEN2(generation2・第2世代)となったKLR650は、当時のカワサキのトレンドが凝縮されたような豪華な装備になりましたが、依然としてキャブレター車のままでした。
日本においてはこれが不幸でした。世の中はすでにインジェクション時代となり、排気ガスを意識していたからです。
日本でも2008年より排ガス規制が厳しくなり、発売されているバイクであっても排ガス検査をクリアできないと登録不可となりました。
たとえ輸入しても車検が取れないことから、KLR650E型は日本市場から閉め出されました。欲しかった人が発売と同時に手にした初期の2008年モデルだけが日本を走れる資格を手にしたのです。
海外へ売られてしまうKLR650
海外で人気があり、日本であまり売れない・・・そんなバイクなので、車両が業者のオークションに流れると外国へと輸出されてしまうことも多かったのがKLR650でした。ただでさえ台数の少なかったKLR650の生存個体がさらに減っていったのは、そんな理由もありました。
フューエルインジェクションとABSを装備した新型KLR650
2021年に発表された新型KLR650は、Z系デザインのカウリングが装備されました。エンジンを覆うカウルまでが直線的にデザインされ、少し天涯B型のような雰囲気が出たように感じます。
エンジンの排気量は1cc増えて652ccになりましたが、今までのKLR650との大きな違いは、フューエルインジェクションとABSが装備されたことです。
キャブレターで2018年まで売っていたのも驚きなんですが、ついに細かな燃焼制御で排気ガスがクリーンにすることが可能なパーツへと変更されました。
伝統的に弱点のブレーキも300mmサイズの2ポッドに変更。さらにABSがつきました。ディスクはシングルですが、やっと現代車並の装備になりました。
タンク容量は23L。A型と同じ容量で、E型より1L増えました。旧型の燃費でもかなりの距離を走れたので十分以上のタンク容量ですね。
それからメーターはデジタルに。私はアナログメーター派ですが、このデジタルメーターはなかなかシンプルでいいですね!
見た感じでは相変わらずシンプルな構成で作られており、トラブルが起こりそうな部分はかなり少ないような気がします。
アメリカでのKLR650は、旅や遊びに気兼ねなく使える値段が安いバイクというポジションですので、お値段もかなりリーズナブル。
ABSなしが$6699 トップケースが付いたABS付きが$7399 フォグランプやサイドパニアがついたアドベンチャーモデルが$7999です。価格を抑えるというのも重要だったのでしょうね。
KLR650というバイクの魅力
KLR650の魅力はスペックではありません!おそらく排気量的にはヤマハのテネレ700と比較される事が多いと思いますが、走りを追求してきたテネレとは大きく性格が異なります。
言い方は悪いかもですが、そこそこのパワーでセロー的にトコトコとツーリングが出来るモデルなのです。さすがに重量はそれなりにありますけどね。
しかし、重量もリッター2気筒クラスと比較するとかなり軽量で、砂利道での引き起こしも一人で起こすことが出来たり、快適に高速を移動し、荒れていないダートであれば一人で入っていける魅力があります。
高速ではリッタークラスや2気筒クラスに劣り、峠道ではオンロードに劣り、林道ではオフロード250に劣り、唯一快適な直線ダートは日本にほぼありません。
私は速く走れる人ではないので限界性能は分かりませんが、快適にオンロードを移動して、なんとか日本の林道を一人で走れる性能は、旅やツーリングをするのにとても魅力的に感じている部分です。
単気筒のため部品点数が少なく、壊れた時の整備性の良さも特筆ものです。車検はあるものの250ccクラスのオフ車の感覚で整備出来るのが本当に素晴らしいです。
すでに日本では免許制度の問題もクリアしていて、アドベンチャーブームもきています。もし新型KLR650が登録できるようであれば、かなり見かけるバイクになるかもしれませんね。そうしたら、各世代のKLR650を並べてみたいです!
KLR650A型海外モデルを買った時の話
KLR650A型を買った時の話を以前書きました。たいした記事になっていませんが、もしよろしければお読み下さい。
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日本からKLR650を海外に持ち出してツーリングしたときの日記です。ツーリング日記に興味があるようであればこちらもあわせてどうぞ!
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